こんにちは!岡山空港タクシー スタッフ・A子です。
落ち葉が風に舞い、朝晩の冷え込みも厳しくなってきました。冬本番ですね。陽の暮れも日一日と早くなり、何かと気忙しくなりますが、心おだやかに移りゆく季節を楽しみたいものです。

さて、今回は、岡山県の王道観光名所のひとつである「倉敷美観地区」(岡山県倉敷市)にスポットをあて、美しい町並み、見ておくべき文化施設から写真映えスポットや穴場のビューポイント、そして地元っ子に愛され続けるローカルフード・名店まで、その魅力を地元民の目線で紹介します。

▼コンテンツ
1.江戸時代の情緒に洋風建築が溶け込んだ優美な町並みを楽しむ
2.文化と芸術、暮らしの輝きに触れる
・名画や美術品、秀麗な建物にも眼福!「大原美術館」
・時を超えて輝く、丹念な手仕事の美「倉敷民藝館」
・倉敷の町家の暮らしと大原家の哲学が息づく「語らい座 大原本邸」(旧大原家住宅)

■江戸時代の情緒に洋風建築が溶け込んだ優美な町並みを楽しむ

かつて江戸幕府直轄地「天領」だった倉敷市。江戸時代に運河として利用された倉敷川を中心に、物資の集積地として栄えた中心地「倉敷美観地区」は、全国的にも有名な観光名所であり、往時をしのばせるその町並みは、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されています。白壁土蔵のなまこ壁や町屋の格子窓と川沿いの柳並木が織りなす美しい風景は、江戸風情を現代に伝えています。
また、明治以降、倉敷の経済発展に貢献した大原家をはじめとする倉敷商人により町が整備され、明治時代から大正期・昭和初期に建てられた洋風建築物が、和の町並みにうまく溶け込み、独特のノスタルジックな旅情を醸しています。

さらに近年では、歴史的建造物をリノベーションし、古きよきものに現代的な感覚を取り入れた個性的な複合施設も次々と誕生。私も、実家が美観地区に程近く、幼い頃から親しみのあるエリアなのですが、訪れるたびにまた新たな風景と出会えます。伝統を守りながら進化し続けるその姿は、私たち地元の人々の心も魅了し続けています。

和と洋、レトロとモダンが融合した町並みは、どこを切り取っても絵になる風景。その中でも、特に美観地区らしい景観が撮れるフォトジェニックなスポットをいくつかお教えします!倉敷川中間に位置する「中橋」。この橋をはさんで、江戸時代の米倉を改装した考古博物館「倉敷考古館」と大正時代に町役場として建てられた「倉敷館」という2つのシンボリックな建物があり、おすすめ撮影スポットです。

撮影スポットその1:白壁土蔵の「倉敷考古館」を背景にして中橋を撮影。

撮影スポットその2:橋を挟んで、瀟洒な洋館「倉敷館」をバックに。

穴場のビューポイント:「倉敷館」2階の窓から眺める町並み
1917(大正6)年に建てられた洋風木造建築物「倉敷館」は市指定重要文化財であり、観光案内所になっています。休憩所やコインロッカー、トイレ、授乳室もあり、散策の拠点として便利です。
そして、2階の休憩所から眺める川辺の町並みもまたひと味違う趣があります。

撮影スポットその3:倉敷川と柳並木
また、「中橋」のたもとから、大原美術館前に架かる「今橋」に向かって倉敷川を中央に入れて撮影すると、両側の柳並木が川面に映し出されて、雰囲気たっぷりの美しい絵になりますよ。

町歩きを楽しみながら、ぜひあなただけの素敵な一枚、ワンシーンを見つけてください。

「倉敷美観地区」の詳細はこちら
https://www.kurashiki-tabi.jp/extra/daynight/kurashiki/

■文化と芸術、暮らしの輝きに触れる


・名画や美術品、秀麗な建物にも眼福!「大原美術館」
倉敷美観地区のシンボル「大原美術館」。倉敷の実業家・大原孫三郎により、彼の支援した岡山出身の洋画家・児島虎次郎の収集した美術品と虎次郎自身の作品を展示するために、1930(昭和5)年に設立された日本初の西洋美術中心の私立美術館です。
本館、分館(休館中)、工芸・東洋館の3館で構成され、エル・グレコの《受胎告知》やクロード・モネの《睡蓮》をはじめとする西洋絵画の貴重なコレクションから、日本の近現代美術、オリエントや東洋の古美術まで、約3000件を所蔵。見応えたっぷり。
また、大原孫三郎ゆかりの築100年の銀行建築(かつての「中国銀行 倉敷本町出張所」)を再生するプロジェクトが進行中。「大原美術館 新児島館(仮称)」として暫定開館し、エントランスホールと吹抜け空間が、2022年11月末まで期間限定で無料公開されました。
(※現在、一般公開は終了しています)

蔦に覆われた石垣の入り口。

古代ギリシャ・ローマ神殿風の圧倒的な存在感を放つ外観。本館2階のクラシカルな丸窓などの凝った意匠も見逃せません。

入口の大きな柱や2体の彫刻がひときわ目を惹きます。

一方、棟方志功など民藝運動の活動家の作品や中国・朝鮮半島などの古美術品が展示されている工芸・東洋館の建物は、また趣が異なり、かつての大原家の米倉を改装した和の装い。白壁や赤壁などが特徴的です。入口付近の池には、モネのアトリエから株分けされた睡蓮があり、6~10月頃には可憐な花を咲かせます。

さらに、本町通りの、かつての「中国銀行 倉敷本町出張所」の建物を再生中の「大原美術館 新児島館(仮称)」では、2022年11月末まで、現代作家ヤノベケンジの作品を特別展示していました。
(※現在、一般公開は終了しています)

ステンドグラスの窓に囲まれた吹抜け空間。瞑想している女性像《サン・シスター(リバース)》は、時折立ち上がりながら手を広げて目を開く仕組みになっています。建物の「転生」とコロナ禍において打撃を受けている倉敷や大原美術館の「再生」を願い、明るい未来への夢と希望を表現しています。

旧金庫室に展示の猫の像《赤漆舟守縁起猫》。コロナ禍収束の願いを込めて「アマビエ」の姿を後頭部にあしらっています。

暫定開館は2022年11月末でいったん終了。児島虎次郎が描いた作品や収集した作品などが公開されるグランドオープンの時期は現段階で未定ですが、どんな姿を私たちに見せてくれるのか、そのお披露目の日を楽しみに待ちたいと思います。

「大原美術館」の詳細はこちら
https://www.ohara.or.jp/


・時を超えて輝く、丹念な手仕事の美「倉敷民藝館」
1948(昭和23)年、国内2番目の民芸館として設立された「倉敷民藝館」。「民芸」とは「民衆的工芸」という意味で、鑑賞を主な目的とする美術工芸品ではなく、人々の暮らしの中で使われる丈夫で美しい品々を指します。江戸時代後期の米倉を改装した建物に、世界各国の暮らしで活躍する美しい道具を約15000点所蔵しています。

入口の案内板。

江戸時代後期の米倉を改装して開館と前述しましたが、それは、倉敷川沿いの美観地区が重要伝統的建造物群保存地区に指定されるずっと以前のことです。当時、町並みを保存するという意識は現在ほど一般的でなく、この地区において、古くからの建物を再生し公開した最初の事例だそうです。白壁と黒い貼瓦の美しい建物自体が民芸品であり、味わい深い趣があります。

展示品は陶磁器、ガラス、石工品、染織品、木工品、漆器、金工品、編組品、紙工品など、上質な品々。いずれも丁寧に作られて、使い心地がよさそうな、飾らない美しさが伝わってくるものばかりです。椅子や腰掛けなどは、一部を除いて実際に座ってみることも出来ますよ。

館内の約1/3が常設展示ですが、残りの2/3の展示室では、年に数回展示替えを行い、さまざまなテーマの企画展や特別展が開催されるので、再訪してもまた新たな民芸品と出会えるのではないかと思います。

また、館内売場では、全国各地の民芸品を販売しています。備中和紙の便箋や倉敷手まりのストラップなど、地元倉敷の手頃な逸品もありますので、お土産にもおすすめです。
(館内の展示の鑑賞は有料ですが、売場は無料で利用できます)

手仕事で丁寧に作られた、暮らしを紡ぐ美しい品々。その技術と尊い美が響き合う空間は、観る者の心も豊かにしてくれます。

「倉敷民藝館」の詳細はこちら
http://kurashiki-mingeikan.com/


・倉敷の町家の暮らしと大原家の哲学が息づく「語らい座 大原本邸」(旧大原家住宅)
倉敷発展の礎を築いた大原家が代々、現当主に至るまで暮らした住宅(国指定重要文化財)を一般に開放。邸内では、大原家の歩んできた歴史や所蔵品、大原家の暮らしを紹介。また、ユニークな展示などで、豪商、大地主、実業家として成長・繁栄を遂げた当主たちの経営者としての顔だけでなく、大原美術館や倉敷中央病院の設立、町並み保存など、文化の発展や社会福祉の向上にも心血を注ぐ、その哲学=大原イズムを体感できます。

土間に入ってすぐ、その斬新な展示に驚かされます。5代~8代当主が残した名言が天井から降り注ぐように吊り下げられています。
大原家の生き方を感じることのできる土間の展示「ふりそそぐ言葉」。壁にも言葉が投影されています。

「倉敷格子」や「倉敷窓」「なまこ壁」など倉敷の町屋の典型的な意匠を備えた建物は、昭和46(1971)年、母屋を始め敷地内10棟が国の重要文化財に指定。その後も当主が実際に居住していました。まさに生きた重要文化財であり、倉敷らしさを堪能することができます。

7代当主・大原孫三郎を紹介する部屋では、孫三郎が関わった事業を表現したレリーフが展示されています。

8代当主・大原總一郎の書斎をイメージしたカフェスペース。約2,000冊の蔵書に囲まれた空間で、コーヒーが楽しめます。

そして、歴代当主がくつろぎ、想いを巡らせた離れ座敷「思索の、間」からは、見事な日本庭園を眺めることができます。思わず時を忘れて、いつまでも眺め入ってしまいそうです。

お座敷ではお抹茶とお菓子のセットをいただくことができます。この風景に身を置くだけでも「倉敷美観地区を訪れてよかった」としみじみ感じ入ることができるでしょう。

また、邸内どこでも撮影OKなところにも懐の深さを感じます。ぜひいろいろな場所、角度から、あなただけのメモリアルな一枚をフレームに収めてください。

そして、最新ニュース!大原家で愛されたピアノが修復され、2022年12月6日から邸内で一般公開されています。世界三大ピアノの一つ、ドイツ・ベヒシュタイン社が1928年に作ったアップライトピアノで、老朽化で眠ったままになっていましたが、このたびクラウドファンディングで再生されました。今後はコンサートも企画されるそうです。時代を超えよみがえり、歴史を今につなぐ音。私も再訪する楽しみが増えました。

「語らい座 大原本邸」の詳細はこちら
https://www.oharahontei.jp/

(次回更新の後編へつづく)

特別協力:倉敷市観光課
(記事作成にあたり、倉敷市観光課様にご協力いただきました。)

倉敷市公式観光サイト
https://www.kurashiki-tabi.jp

岡山空港から倉敷美観地区までのタクシー所要時間と運賃

普通車で 50分 約8,700円
※当日の交通状況により多少前後しますので、ご了承ください。

※掲載の情報は2022年12月1日現在のものです。