澄み渡る空の青さに秋を感じる季節となりました。岡山空港タクシー スタッフ・A子です。
さて、今回は、岡山市北西部に位置し、江戸期の陣屋町の風情が色濃く残る「足守(あしもり)」(岡山市北区)エリアにスポットをあて、情緒豊かな町並み、侍屋敷や優美な大名庭園、そして、岡山を代表する特産品のひとつ・果物の女王「足守メロン」など、知る人ぞ知るその魅力と見どころをたっぷりご紹介します。

▼コンテンツ
1.陣屋町の風情が薫る足守町並み保存地区
 ・かつての商家の趣を残す「備中足守まちなみ館」
 ・武家の生活様式を今に伝える岡山県指定重要文化財「侍屋敷」(旧足守 藩侍屋敷遺構)
 ・岡山県指定名勝「近水園」と数寄屋造りの「吟風閣」
2.幕末に大阪で蘭学塾「適塾」を開き、天然痘やコレラ対策を普及させた緒方洪庵の生誕地
3.足守の風物と特産品
 ・水清く豊かな自然に育まれた「ホタルの里」
 ・香りと甘さは格別!栽培歴100年近くの歴史ある特産品「足守メロン」

■陣屋町の風情が薫る足守町並み保存地区

足守は、古代吉備文化発祥の地の一つとして知られ、足守藩2万5千石の藩主・木下家の陣屋が置かれた町です。豊臣秀吉の正室北政所(通称ねね)の実兄「木下家定」が、1601(慶長6)年、足守の地を領有し、陣屋町として栄えました。江戸風情を現代に伝えるその閑静で美しい町並みは、歴史的、文化的資料も多く、岡山県の町並み保存地区に指定されています。

町並みの特徴は、格子が良質に保存されていること。その意匠が凛とした表情を醸し出し、豊かな格調とともに建物の優美さを引き立てます。


メインストリート「足守歴史ふれあい通り」には、定番観光地のような混雑がなく、穏やかな時間が流れています。昔風情を味わいながらゆったり歴史散策ができます。


足守駐在所隣の観光駐車場にある案内版で現在地を確認し、いざ、散策のスタートです!

かつての商家の趣を残す「備中足守まちなみ館」

「足守歴史ふれあい通り」のランドマークのひとつ。もともとこの地にあった商家を復元したものです。


格子窓、2階の虫籠窓、生子壁などが、かつての商家の雰囲気を再現。


館内には、地域の歴史や町並みを伝える写真など、様々な資料を展示しています。


散策マップなども備えてあり、スタッフの方が丁寧に説明して下さいますので、まずこちらで情報を入手して旅の手引きにするとよいと思います。

武家の生活様式を今に伝える岡山県指定重要文化財「侍屋敷」(旧足守藩侍屋敷遺構)

「足守歴史ふれあい通り」を足守駐在所まで再び戻り、「木下家陣屋跡」の方へ「陣屋みち」を歩くと左手すぐに、白壁の長屋門と重厚な土塀に囲まれた格調高い武家屋敷があります。足守藩家老・杉原家の旧宅です。


家老屋敷の佇まいをほぼ完全に近い形で今に伝える貴重な遺構(岡山県指定重要文化財)。1973(昭和48)年、岡山市に寄贈され、復元保存修理を行ない、文化財の公開を行っています。

母屋は伝統的な「武家書院造」です。建物内部は外から見学することができます。


玄関の式台を上がると、8畳の式台の間があり、13畳の広間(ニの間)、8畳の座敷(一の間)に続きます。この3間が表向き(公式用)の書院です。


床と付書院を設けた8畳の座敷(一の間)。一番大切なお客様をお通しする部屋です。
掲げられている「鶴雲」の書は、11代藩主・木下利徳の直筆です。


一の間の床脇の外はすぐ縁側で、付書院には花頭窓を開いています。


一の間の前面にある遠州流の庭も見事です。背後には藩主来訪時に使用する御成門があります。

構えは重厚ですが、華美な装飾はなく、質実剛健な江戸時代の武士の暮らしぶりが感じられました。

「侍屋敷」(旧足守藩侍屋敷遺構)の詳細はこちら
https://www.city.okayama.jp/museum/samurai-yashiki/

岡山県指定名勝「近水園」と数寄屋造りの「吟風閣」

侍屋敷から、足守小学校横の「利玄みち」を進むと、足守藩の陣屋が置かれた「旧足守藩木下家陣屋跡」があります。「足守藩主木下家屋形構跡」として岡山市の史跡になっています。陣屋が構築されたのは、5代藩主・木下利貞の頃で、明治維新後は学校などに承継され、現在は遺構として堀と石垣が残されています。



陣屋を囲む石垣と水堀。往時を偲ばせます。

陣屋跡の北側には、岡山県指定名勝の大名庭園「近水園(おみずえん)」があります。県下では、岡山の後楽園、津山の衆楽園と並ぶ三名園のひとつです。


足守藩主木下家の屋形構(居館)の奥手に設けられた大名庭園。足守川の水を引き入れて園地を設けた、小堀遠州流の池泉回遊式の築庭様式をとっています。


池泉に、藩主の長寿と繁栄を象徴する鶴島・亀島の2つの島を浮かせ、亀島には、亀頭石、中心石、脚石、亀尾石が配され、鶴島には、木下家14代当主・利玄の歌碑が建てられています。

池の畔に建つ数寄屋造りの「吟風閣」は、6代藩主・木下㒶定(きんさだ)が1708(宝永5)年、幕府の命を受けて、京都の仙洞御所と中宮御所の普請を行った際に、その残材を持ち帰り活用して建築したものといわれています。


その風雅な佇まいと清閑な園の風景との調和は見事です。

縁側前から見渡す庭園の眺望も素晴らしく、大名が眺めたであろう景色を堪能することができました。

園地の東側には、ひっそりと隠れキリシタンのマリア灯籠が立っています。一見、普通の灯籠のようでありながら、実はマリアの姿が刻み込まれています。なぜいつここに建てられたのかは不明とのことです。

向かって右が、珍しいマリア燈籠です。

これから11月には、園内のモミジが色づく紅葉の季節を迎え、うっとりするほどの絶景に出会うことができます。艶やかな秋の彩りと変化に富んだ庭景の醍醐味を味わいながら、心の休息をしてみませんか?

「近水園」(岡山県指定名勝)の詳細はこちら
https://www.city.okayama.jp/museum/omizuen/

■幕末に蘭学塾「適塾」を開き、天然痘やコレラ対策を普及させた緒方洪庵の生誕地

緒方洪庵は、1810(文化7)年に備中足守藩の家臣佐伯惟因の三男として生まれ16歳までここで暮らしました。大阪で適塾(大阪大学医学部の前身)を開き、明治の近代化に活躍した福澤諭吉・大村益次郎・佐野常民・長與専斎ら多くの人材を育てました。また、大阪除痘館を開設して天然痘治療や幕末に大流行したコレラ対策にも大きく貢献し、日本の近代医学の祖といわれています。
その緒方洪庵の生誕地には、建物は残っていませんが産湯の井戸が残されており、また、緒方洪庵の臍の緒と元服時の遺髪が埋められた記念碑と隣には銅像が建てられています。

■足守の風物と特産品

水清く豊かな自然に育まれた「ホタルの里」

足守地域は岡山市内一のホタルの名所としても有名です。足守川や日近川流域で5月下旬から6月上旬にかけてホタルの乱舞が見られます。ホタルを楽しめるということは、水が清らかで豊かな自然に恵まれた環境である証し。ホタルを守り、ホタルの住める水辺環境を保持するため、岡山市は平成4(1992)年、足守地域を「ホタルの里」に指定しました。地域住民の方の熱心な保護活動により、美しい自然が保たれています。

香りと甘さは格別!栽培歴100年近くの歴史ある特産品「足守メロン」

足守地区は、栽培歴100年になろうとする、歴史のあるメロンの産地です。昭和初期に始まったメロン作り。今では一大産地に成長しました。栽培されている品種は「アールスメロン」が主流で、足守地区はアールスメロンの県内生産量の大部分を占めています。その特徴は、糖度が14度以上と甘く、香りもまた格別です。一年を通して温室で栽培されていますが、特に7、10月に多く生産されています。


せっかくなので、散策のひと休みに、「足守歴史ふれあい通り」沿いにある「足守プラザ」に併設した「洪庵茶屋」で、フレッシュメロン100%のメロンジュースを頂きました!


芳醇な風味と上品な甘さ。その贅沢な味わいに思わず笑みがこぼれます。ご当地名物を堪能することが出来ました。

なお、隣の「足守プラザ」では、陶芸・面絵付けなどの体験が可能で、情報発信と文化交流、そして、やすらぎの場として親しまれています。

「足守プラザ」

取材を兼ね、1日かけて各所を巡りましたが、町並み保存地区に観光名所がぎゅっと詰まっており移動時間も少なく、マイペースにゆったり、しかも濃密な時間を過ごすことができました。また、お急ぎの場合には2時間程度でも十分見て回ることができます。

最後に、近日開催の足守地区の楽しいイベントをお知らせします!!
陣屋跡・近水園周辺を会場に、足守メロンの販売や試食を楽しめる「足守メロンまつり」が4年ぶりに開催されます!テント村では足守メロンの試食、即売、特産品などの販売、特設ステージでは地元の皆さんによる郷土芸能、近水園や洪庵生誕地等を巡る歴史ウォークや投扇興などが催されます。

「足守メロンまつり」 (※終了しました)
令和5年10月15日(日)10:00~15:00
※荒天の場合は中止。
会場:陣屋跡・近水園周辺
問い合わせ:080-3892-1689(足守地域活性化推進事業実行委員会事務局)
※毎年10月第3日曜開催

歴史文化あふれる岡山市北区足守で、風流な町並み散策と豊潤な旬味をぜひ!

特別協力:岡山市観光振興課
     足守プラザ(おかやま観光コンベンション協会)
     備中足守まちなみ館(近水観光振興会)
     岡山市教育委員会文化財課
(記事作成にあたり、ご協力いただきました。)

岡山市公式観光サイト
https://okayama-city-travel.com/sightseeing/

岡山空港から足守地区までのタクシー所要時間と運賃

A子6普通車で 20分 約3,800円
※当日の交通状況により多少前後しますので、ご了承ください。

※掲載の情報は2023年10月1日現在のものです。