春たけなわの好時節となりました。岡山空港タクシー スタッフ・A子です。花便りも伝わる今日この頃、新年度もスタートし、新しい環境でスタートを切られた方も多いことでしょう。
さて、今回は、春を満喫できる岡山県有数の観光スポット「吉備路」のご紹介です。
古代ロマンの里「吉備路」。岡山市北西部から総社市にかけての一帯の総称で、弥生時代末期から古墳時代の5~6世紀にかけて「古代吉備王国」が栄えた地として、当時の繁栄を今に伝える古墳や古社寺が点在する県下有数の観光地です。四季を通じて美しい田園と長閑な山並みの風景が広がり、その自然美の中に溶け込むように無数の史跡群が分布しています。さらに、2023年4月には、14年の月日をかけて復元・整備した「千足古墳」も全面公開され、いま熱い視線が注がれている注目のエリアです。
まず前編では、総社市エリアを取り上げ、吉備路を代表する景観&いにしえの浪漫がよみがえる古墳散歩にご案内!
▼コンテンツ
■吉備路の代表的景観「備中国分寺」周辺の観光スポット
・「備中国分寺」と田園風景に佇む吉備路のシンボル 国指定重要文化財 「五重塔」
・ミステリアスな横穴式石室 国指定史跡「こうもり塚古墳」
・五重塔を正面に眺めながら散策のブレイク「吉備路もてなしの館」
■古代吉備王国の繁栄を物語る2つの巨大古墳
・全国10番目の規模を誇る前方後円墳 国指定史跡「作山古墳」
・吉備地方で最大規模の方墳「角力取山(すもうとりやま)古墳」
■吉備路の代表的景観「備中国分寺」周辺の観光スポット
・「備中国分寺」と田園風景に佇む吉備路のシンボル 国指定重要文化財「五重塔」
総社市南部の美しい丘陵地帯に建つ「備中国分寺」。吉備路の中心となるスポットであり、その周辺が吉備路の中心的地区となっています。
境内にそびえる五重塔は、季節とともに移り変わる田園風景の中、堂々とした風格と存在感を放ち、まさに吉備路エリアのシンボル的存在です。
田園風景の中の五重塔。吉備路の代表的な景観です。上の写真は吉備路の春の風物詩・れんげ畑と五重塔。淡い紫色の可憐な花のじゅうたんと荘厳な五重塔のコントラストは見事です。毎年4月29日には「吉備路れんげまつり」が開催され、多くの人で賑わいます。
2024年 吉備路れんげまつり
4月29日(祝)10:00~15:00 備中国分寺一帯
※雨天の場合は5月3日(祝)に延期 (※終了しました)
四季折々の花が楽しめる散策スポットやフォトスポットとしても人気のロケーション。特に春は、梅や菜の花、桃、桜、れんげと時期をずらして楽しむことができます。
「備中国分寺」は、鎮護国家を祈るため、天平13(741)年、聖武天皇の勅願で、日本の各国に建立された国分寺のひとつです。建物は南北朝時代に焼失したと言われており、現在の建物は江戸時代中期以降に再建されたもの。その寺域は国の史跡に指定されています。真言宗御室派の寺院で、山号は日照山、御本尊は薬師如来。病気を平癒し、心身の健康を守ってくださる仏様です。
五重塔は、岡山県内唯一のもので、国の重要文化財に指定されています。現在の五重塔は総高約34.3mの大規模な塔で、国分寺の再建から約100年後の文政4(1821)年、再建を開始し、20年あまりかけて完成しました。
周辺には遊歩道やサイクリングロードも整備され、散策にも最適。なつかしき日本の原風景に出会うことができます。
「備中国分寺」(総社市ホームページ)の詳細はこちらhttps://www.city.soja.okayama.jp/kanko_project/kanko/kannkou_bunnka/kankouti/kokubunji.html
・ミステリアスな横穴式石室 国指定史跡「こうもり塚古墳」
5世紀初頭の古代吉備は近畿地方に次ぐ勢力を誇った地と考えられており、吉備路には当時の繁栄を物語る貴重な文化財や史跡が点在しています。吉備路全体では約4000基を超えると言われる無数の古墳群は、全国的にも有名です。
備中国分寺の東約300mに位置する「こうもり塚古墳」(国指定史跡)。6世紀後半、丘陵を利用して築かれた全長約96mの前方後円墳で、吉備の大首長の墓と推定されます。
現地案内板
棺を納めた石室への入口。手を合わせて、足を踏み入れます。
全長約19.9mの巨大な横穴式石室は後円部にあり、全国にある横穴式石室の中でも第3位の規模を誇ります。
棺を安置する玄室への通路(羨道)。ひんやりとした独特の空気が感じられ、神秘的な雰囲気が漂います。玄室の手前まで見学することができます。
玄室の入口は鉄扉で仕切られています(中には入れません)。岡山県西部の井原市産の貝殻石灰岩「浪形石」をくりぬいて作られた家型石棺が安置されています。
詳しくは、「こうもり塚古墳」を紹介する360°動画(岡山県作成)が公開されています。
岡山県古代吉備文化財センター YouTubeチャンネル
動画ページ:https://youtu.be/OUi0HV6QBms
・五重塔を正面に眺めながら散策のブレイク「吉備路もてなしの館」
県道270号線を挟んで北側正面に備中国分寺五重塔を望む絶好の立地にある「吉備路もてなしの館」は、吉備路散策の休憩にぴったりのスポット。レストスペースや食事処があり、特産品やお土産も買えます。
館内の「やまて食堂」では、全ての席から備中国分寺の五重塔を中心とした吉備路の景色を満喫できます。大きなガラス窓から眺める美しい田園風景はまさに眼福。心も満たされます。
「吉備路もてなしの館」の詳細はこちら
http://motenasi.ec-net.jp/
■古代吉備王国の繁栄を物語る2つの巨大古墳
・全国10番目の規模を誇る前方後円墳 国指定史跡「作山古墳」
備中国分寺から西方約1㎞にある「作山古墳」(国指定史跡)。全長約282m、前方後円墳として全国10番目の規模を誇る巨大古墳です。3段に築成され、それぞれの段には円筒埴輪が並んでいたと推測されています。5世紀中ごろに築造された吉備の大首長の墓と考えられています。
県道270号線から撮影。こんもりとした古墳の遠景。
西側の駐車場にある案内板。
駐車場からみた前方部の角。木々が生い茂っています。
作山古墳は自由に立ち入ることの出来る古墳です。せっかくなので頂部まで登ってみました。
後円部の頂上までたどり着きました。説明板があります。
頂部から見下ろす二段目のテラス。東側と南側に交通量の多い道路や町並みも見えます。
実際に入ってみて、あらためてその雄大さを実感しました。相当な権力者の墓であることがうかがえます。近隣には全国4番目の規模の「造山古墳」(後編でご紹介予定)もあり、古代吉備の国が大きな勢力を持っていたことの証だと考えられます。
「作山古墳」(総社市ホームページ)の詳細はこちらhttps://www.city.soja.okayama.jp/bunka/kanko/shitei_bunkazai/kuni/kuni_07.html
・吉備地方で最大規模の方墳「角力取山(すもうとりやま)古墳」
作山古墳の500mほど南の低丘陵上に築かれた「角力取山古墳」(市指定史跡)。一辺約36m×約38m、高さ約5mの方墳で、方墳としては吉備地方では最大規模です。5世紀後半に地域の首長墓として造られたと推定されています。戦前は、古墳の西側に土俵を設け、氏神様の祭りの際に、奉納相撲が行なわれていたことから、「角力取山古墳」と呼ばれているようです。
古墳の遠景。田んぼの中にぽっかり松林の丘陵が現れます。
現地案内板。
南側から見た墳丘。
「角力取山古墳」(総社市ホームページ)の詳細はこちらhttps://www.city.soja.okayama.jp/bunka/kanko/shitei_bunkazai/si/si_21.html?pc
古墳の上には、県指定天然記念物の樹齢約450年を経たクロマツの巨木が枝を広げています。
クロマツでは県下最大とみられています。
風雪に耐え、生き抜いてきた美しいクロマツ。悠久の時を刻む名木の生命力と、その威厳に圧倒されます。
「角力取山の大松(総社市ホームページ)」の詳細はこちらhttp://www.city.soja.okayama.jp/bunka/kanko/shitei_bunkazai/ken/ken_16.html
「角力取山古墳」の道をはさんですぐ西側には、通称「ギリギリ山古墳」もあります。昭和54(1979)年の県道建設で発掘され、角力取山古墳の西脇に移築・復元された横穴式石室です。6世紀中ごろの円墳で、7世紀半ばには2人以上が追葬されていたそうです。
旧山手村の現地案内板。
剥き出しの石室。
「ここにはどんな偉い人が眠っているのか」「どうやって土や石を運んだのか」など、想像の自由度を広げてくれる古墳たち。心が高鳴り古代からのメッセージを感じることができます。
吉備路は、今まさにれんげの季節です。古代吉備の国や古墳を造った当時の人に思いを馳せ、まわりの田園風景も楽しみながら“吉備路で古墳巡り”はいかがでしょうか?
吉備路の新着情報!
角力取山古墳の近隣(総社市岡谷)に、JA晴れの国岡山の岡山県内最大級の産直施設「旬感広場」が2024年10月グランドオープン予定。先行で4月2日に1階の農産物直売所「晴れのち晴れ」が開業しましました!
(後編につづく)
特別協力:総社市観光プロジェクト課
(記事作成にあたり、ご協力いただきました。)
総社市公式観光WEBサイト
https://www.city.soja.okayama.jp/kanko_project/kanko/soja_kanko_top_2016.html
岡山空港から吉備路までのタクシー所要時間と運賃
普通車で 約40分 約6,500円
※当日の交通状況により多少前後しますので、ご了承ください。
※掲載の情報は2024年4月2日現在のものです。